青島市に設立された会社の所在地登記に関する新たな規定について
Q.当社は、青島に設立された日系企業です。最近青島市人民政府から経営場所に関する新たな規定が公布されたと聞きました。この新規定の主な内容を説明して下さい。
A.ご理解の通り、青島市人民政府は人々に起業を促し、イノベーションを刺激して、会社の市場参入のハードルを下げ、起業コストを下げるため、今年5月26日『青島市商事主体所在地(経営場所)登記管理弁法』(以下「管理弁法」という。)を公布しました。この『管理弁法』は、今年8月1日から正式に施行されます。この『管理弁法』には、現在施行されている『青島市企業所在地(経営場所)登記管理弁法』に規定されている「1枚の許可証で複数の所在地」と「1箇所の所在地に複数の証明書」をベースに、次の新たな規定が設けられています。
① 在地規定の適用範囲を拡大
この『管理弁法』は、青島市の管轄区に登記された各種会社に適用されます。外商投資企業及びその支社、外国企業が中国に設立した駐在員事務所等の各種登記された商事主体に均しくこの『管理弁法』が適用されます。
②所在地の申告誓約制
『管理弁法』は、所在地登記手続を簡素化し、元の所在地申告制を所在地申告誓約制に変更しています。即ち登記機関は、商事主体が所在地登記を行う際、所在地の財産権の権利帰属、使用機能及び法定用途が事実に合致し、法律の規定に適合していることの誓約のみを求めます。今後登記機関は、所在地の財産権の権利帰属、使用機能及び法定用途を審査せず、不動産権利証、賃貸契約書及び居民委員会、マンション住民管理組合の証明書等、所在地の適法性に関する証明書の提出も求めません。
所在地の登記手続は簡素化されるものの、これは商事主体が勝手に所在地を選択できるということではなく、所在地の選択は法律、行政法規、規則の規定を遵守し、義務を履行し、公序良俗を守り、公共の利益を損ねてはならないとされています。
③シート登録制
『管理弁法』では、所在地について「1箇所の所在地に複数の証明書」を許可することをベースに、シート登録制を定めています。法に基づいて設立された集中オフィスエリア、市場主体インキュベーター、法律事務所等、商務秘書サービス機能を備えた会社に対し、シート登録制の採用を認めています。新たな規定のもとでは、初期投入資金を減らすことができるため、日本企業の中国駐在員事務所及び小規模の商社等は、シート登録制を採用して所在地を登記することを検討されては如何かと存じます。
④特定業界に対する設立禁止エリア
『管理弁法』は、商事主体の所在地の登記範囲と条件を大幅に緩和し、商事主体の市場参入のハードルを下げ、商事主体は自らの生産経営の必要性からふさわしい所在地と経営場所を選択できるようになりました。しかし、『管理弁法』は、同時に各区・各市の自治体に特定業界に設立禁止エリアを設ける権限を授けています。特定業界の設立禁止エリアでは、関連する商事主体の設立は許可されないことになります。特定業界に対する設立禁止エリアについては、関係する政府機関が設置作業中であり、正式に発表されるまでには時間がかかると思われます。
『青島市商事主体所在地(経営場所)登記管理弁法』は公布されたばかりで、正式に施行されていないため、関係当局が当該『管理弁法』をどのように適用するかは未知数です。このため、今後も法律の動向に注目していくことを、お勧めいたします。
作成日:2016年06月20日