最新法律動向

HOTNEWS!-企業賃金ガイドラインについて

背景

2015年11月11日、広東省人力資源社会保障庁は、『広東省2015年企業賃金ガイドライン公布に関する通知』を公布しました。当該通知は、賃金上昇の基準線を8.5%、賃金上昇の上限(警戒ライン)を12.5%、賃金上昇の下限をゼロ又はマイナス上昇と定めました。賃金上昇の下限について、当該通知は経済的利益の下降幅が大きいか、欠損の出ている企業は、労働組合又は従業員代表と協議を行い合意すれば、賃金を上昇させないか、引き下げることができると定めています。

中国経済の成長が減速している環境のもと、通知が提起した賃金上昇の下限ラインにおけるゼロ上昇又はマイナス上昇について、人々の注目が集まっています。

2014年、山東省人民政府は『2014年企業賃金ガイドライン公布に関する通知』によっても賃金上昇の下限をゼロ又はマイナス上昇とし、生産経営が特に困難な企業は、ゼロ又はマイナス上昇としてもよいと規定していました。しかし2015年、山東省及び青島市の企業賃金ガイドラインの規定には、賃金上昇の下限をゼロ又はマイナス上昇としてもよいとは規定されませんでした。

山東省政府及び青島市政府は、通常2月に当年度の企業賃金ガイドラインの通知を公布します。しかし今年は4月末になっても、山東省及び青島市は、2016年度の企業賃金ガイドラインを公布しませんでした。

企業賃金ガイドラインについて

企業の賃金ガイドラインは、基準ライン、上限ライン(警戒ラインともいう。)、下限ラインからなります。これは、当年度の経済発展統制目標に基づき、政府から企業に対して発表される年間の賃金上昇レベルの提案であり、強制力を持つものではありませんが、企業と従業員の間での団体交渉や、企業が自ら賃金上昇レベルを決定するにあたって参考データとすることができるものです。

政策のポイント

往年、青島市の企業賃金ガイドラインの公布に関する通知では、通常各企業が政府が企業賃金ガイドラインを公布してから30日以内に賃金労働協約を締結し、従業員と直接協議を行い約定する等の方法で賃金ガイドラインに基づいて着実に賃金案を行い、なお且つ当年度の賃金実施案(賃金団体交渉)を制定し、本年度の賃金予算を作成すると規定しています。同時に政府は企業が賃金ガイドラインオンライン届出システムを通じて届出手続をすることを求めています。

規定に基づいて賃金実施案を労働保障行政機関に届出なかった場合、『山東省企業賃金支払規定』第45条第(2)号の規定に基づき、労働保障行政機関が警告を行い、期間を設けて改善を命じます。期限を過ぎても改善しない場合、2,000元以上10,000元以下の制裁金が科せられる可能性もあります。

注意すべき

企業賃金ガイドラインは、企業にとって、強制力を持つものではありませんが、実務において従業員は企業賃金ガイドラインを大変重要視しています。公布された賃金ガイドラインを根拠に会社へ賃上げを要求してくる場合もあります。このため、従業員によるストライキ等の発生を回避できるよう、合理的な方法を採用し従業員を適切に指導することを心がけなければなりません。 中国経済の成長が減速するものの、企業の経営コストは上昇するという環境のなか、2016年度の山東省及び青島市の企業賃金ガイドラインが如何に規定されるかに、引き続き注目が集まっています。

青島市が企業賃金ガイドラインの通知を公布した後は、通知の規定に基づいて賃金の届出を行われることを、お勧めいたします。

作成日:2016年05月17日