無断で勤務を交代して交通事故が発生して受傷した場合の労災認定の可否
Q.当社の従業員で、元々夜勤であった者が、会社の許可なく無断で他の従業員と勤務を交代し、昼間に勤務していました。その結果、帰宅途中で交通事故が発生し、自動車に衝突して受傷しました。交通警察官により、事故は自動車側が全責任を負うと認定されました。当社には、勤務の交代についての明確な規則制度があり、当該従業員も当該制度について確認の署名をしています。この場合、当該従業員の今回の受傷は労災と認定されるでしょうか。
A.従業員が職場の規則制度に違反したことを理由に労災認定しないかどうかについて、現在、一定の論争が存在していますが、労災として認定すべきという傾向にあります。その理由は、次の通りです。
当該従業員が無断で勤務を交代し、会社の規則制度に違反した過失行為は、警告をする等、雇用者が社内の関連する規則制度で処理すべきことです。しかし、従業員が受傷した後の労災認定は、『労働災害保険条例』によって行われるべきです。労災認定は、実質的に「従業員に過失があるかどうか」が認定の原則となります。即ち従業員が職場の規則制度(操作規程に違反して受傷した等)に違反したかどうかにかかわりなく、『労働災害保険条例』所定の労災認定の条件に適合しさえすれば、従業員に事故が発生し、受傷した場合は、労災と認定する必要があります。
『労働災害保険条例』第14条第6号には、「出退勤途上で、本人の主な責任によらず交通事故又は都市軌道交通、旅客フェリー、列車の事故により受傷した場合」労災に該当すると規定されています。具体的にこの場合、、当該従業員に交通事故が発生した時間は帰宅途中であり、交通警察官の事故認定により、当該従業員は事故の責任を負わないとされているため、労災と認定する必要があると思われます。
作成日:2015年11月20日