最新法律動向

2015年8月公布の重要法規解説

 

第十二期全国人民代表大会常務委員会立法規画(全102件)

『食品生産経営監督検査管理弁法(意見聴取稿)』の意見聴取に関する食品薬品監督管理総局の通知

中国国際経済貿易仲裁委員会及びその原分会等の仲裁機構による仲裁裁決に対する上海市高級人民法院等による司法審査案件のための質問に関する最高人民法院の回答

民間貸借案件の審理における法律の適用にかかる若干の問題に関する最高人民法院の規定

 

一、第十二期全国人民代表大会常務委員会立法規画(全102件)

2015年8月3日公布  2015年8月3日施行

http://www.npc.gov.cn/npc/xinwen/2015-08/03/content_1942908.htm

第一類項目:条件が比較的成熟し、任期内に審議に提出する法律草案(76件)(抄録)。

憲法宣誓制度の確立に関する決定、陸地国境法、民法典編纂、特許法(修正)、著作権法(修正)、テロリズム防止法、国外非政府組織管理法、インターネット安全法、水汚染防止処理法(修正)、大気汚染防止処理法(修正)、土壌汚染防止処理法、環境保護税法、増値税法、資源税法、不動産税法、中小企業促進法(修正)

第二類項目:業務を適切にする必要があり、条件が成熟した時に審議に提出する法律草案(26件)。海洋基本法、商業銀行法(修正)、先物法、電子商取引法、中外合弁経営企業法、外資企業法、中外合作経営企業法(修正)、核安全法、不正競争防止法(修正)、エネルギー法、循環経済促進法(修正)

第三類項目:立法条件が具備されておらず、継続して研究論証する必要がある立法項目。

財政税収、国家経済の安全、社会信用、宇宙分野、社会救助、農村貧困扶助開発分野等の立法項目。

 

二、『食品生産経営監督検査管理弁法(意見聴取稿)』の意見聴取に関する食品薬品監督管理総局の通知

2015年8月18日公布

http://www.chinalaw.gov.cn/article/cazjgg/201508/20150800478817.shtml

食品生産経営監督検査行為を規範化するため、食品安全法等の関係する法律、法規の規定に基づき、国家食品薬品監督管理総局は、『食品生産経営監督検査管理弁法』(意見聴取稿)を起草した。社会各界は、2015年9月18日までに、電子メール(rendp@cfda.gov.cn)又はFAX(010-63098765)等により意見又は建議を提出することができる。

 

三、中国国際経済貿易仲裁委員会及びその原分会等の仲裁機構による仲裁裁決に対する上海市高級人民法院等による司法審査案件のための質問に関する最高人民法院の回答

2015年7月15日公布 2015年7月17日施行

http://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-15003.html

1.主な内容

(1) 当事者は、中国国際経済貿易仲裁委員会華南分会から華南国際経済貿易仲裁委員会(以下、「華南貿仲」という)に、中国国際経済貿易仲裁委員会上海分会から上海国際経済貿易仲裁委員会(以下、「上海貿仲」という)に名称変更する前に仲裁協議を締結し、紛争を「中国国際経済貿易仲裁委員会華南分会」又は「中国国際経済貿易仲裁委員会上海分会」に申し立てる旨を約定した場合には、華南貿仲又は上海貿仲は案件に対し管轄権を有する。当事者が華南貿仲又は上海貿仲に仲裁の権利がないことを理由に、人民法院に対し仲裁協議の無効を請求し、仲裁裁決の取消し又は不執行を申し立てる場合には、人民法院はこれを支持しない。

(2) 当事者は、中国国際経済貿易仲裁委員会華南分会から華南国際経済貿易仲裁委員会に、中国国際経済貿易仲裁委員会上海分会から上海国際経済貿易仲裁委員会に名称変更した後(変更日を含む。)、本回答の施行前に、仲裁協議を締結し、紛争を「中国国際経済貿易仲裁委員会華南分会」又は「中国国際経済貿易仲裁委員会上海分会」に申し立てる旨を約定した場合には、中国国際経済貿易仲裁委員会が案件に対し管轄権を有する。ただし、申立人が華南貿仲又は上海貿仲に仲裁を申し立て、被申立人が華南貿仲又は上海貿仲の管轄権につき異議を提示しない場合において、当事者が仲裁裁決がなされた後に、華南貿仲又は上海貿仲に仲裁の権限がない旨を理由に仲裁裁決の取消し又は不執行を申し立てるときは、人民法院はこれを支持しない。

(3) 当事者は、本回答施行後に(施行日を含む。)仲裁協議を締結し、紛争を「中国国際経済貿易仲裁委員会華南分会」又は「中国国際経済貿易仲裁委員会上海分会」に申し立てる旨を約定する場合には、中国国際経済貿易仲裁委員会が案件に対し管轄権を有する。

2.今後の注意点

原中国国際経済貿易仲裁委員会華南分会(現:華南国際経済貿易仲裁委員会、又は深圳国際仲裁院)、原中国国際経済貿易仲裁委員会上海分会(現:上海国際経済貿易仲裁委員会、又は上海国際仲裁センター)が名称を変更し、新たな仲裁規則を施行したことにより、関連する仲裁協議の効力並びに上記各仲裁機構にかかる仲裁案件受理の権限、仲裁管轄、仲裁の執行等の問題につき紛争が生じ、一部の当事者が人民法院に対し仲裁協議の効力の確認を申し立て、関連する仲裁裁決の取消し又は不執行を申し立て、多くの仲裁司法審査案件を引き起こした。仲裁方式による紛争の解決を決定した案件当事者は、関連する契約中の「仲裁条項」の約定に注意する必要がある。

(全4条)

 

四、民間貸借案件の審理における法律の適用にかかる若干の問題に関する最高人民法院の規定

2015年月8月6日公布、2015年9月1日施行

http://www.court.gov.cn/fabu-xiangqing-15146.html

1.主な内容

(1) 人民法院の立件後、民間貸借紛争案件と関連があるものの、同一事実の不法な資金募集犯罪ではない端緒、資料を発見した場合、人民法院は引き続き民間貸借紛争案件を審理し、且つ不法な資金募集などの犯罪の端緒、資料を公安または検察機関に移送しなければならない。(第6条)

(2) 法人間、その他組織間及び相互間において生産、経営のために締結した民間貸借契約について、契約法第52条、本規定第14条が規定する情状があるときを除き、民間貸借契約が有効であると当事者が主張する場合、人民法院は支持しなければならない。

(第11条)

(3) 法人またはその他組織が本事業組織内部において借入の形式で従業員から資金を調達し、当該業組織の生産、経営に使用し、且つ契約法第52条、本規定第14条の規定する情状がなく、民間貸借契約が有効であると当事者が主張する場合、人民法院は支持しなければならない。

(4) 以下のいずれかの事由があるとき、人民法院は民間貸借契約が無効であると認定しなければならない。

(1)金融機関の信用貸付資金を不正取得し高利で借主に転貸して、且つ借主が事前に知り、または知るべきであった場合

(2)その他企業から貸借または本事業組織の従業員から募集して取得した資金を高利で借主に転貸して利益を取得し、且つ借主が事前に知り、または知るべきであった場合

(3)借主が借入金を違法・犯罪活動に用いることを貸主が事前に知り、または知るべきであったにも関わらず借入金を提供した場合

(4)公序良俗に違反する場合

(5)その他法律、行政法規の強行規定に違反する場合

(第14条)

(5)企業の法定代表者または責任者が企業名義で貸主と民間貸借契約を締結し、貸主、企業またはその他株主が借入金を企業の法定代表者または責任者

が個人的に使用したと証明できるとき、貸主が企業の法定代表人または責任者を共同被告または第三者にするよう申し立てる場合、人民法院は許可する。(第23条)

(6)  貸借双方が約定する利率が年率24%を超えず、貸主が借主に約定した利率に従い利息

を支払うよう求める場合には、人民法院はこれを支持しなければならない。貸借双方が約定する利率が年率36%を超える場合には、超える部分の利息は無効である。借主が貸主にすでに支払った年率36%を超える部分の利息の返還を求める場合には、人民法院はこれを支持しなければならない。貸借双方が期限徒過利息につき約定をしている場合には、当該約定に従うが、年率24%を超えない部分に限る。

2.今後の注意点

貸主と借主が期限徒過利息を約定し、違約金その他の費用を約定している場合には、貸主は期限徒過利息、違約金その他の費用の主張を選択し、又は一括して主張することができる。ただし、総額が年率24%を超える部分については、人民法院はこれを支持しない。

(全33条)

作成日:2015年09月11日