法律相談Q&A

『環境保護税法(意見聴取稿)』の主な内容及び日系企業への影響

Q.当社は城陽区にある日系自動車部品メーカーです。今年1月に『環境保護法』(以下、新『環境保護法』という。)が改訂された事は知っていましたが、このたび、『環境保護税法(意見聴取稿)』が発表されたと聞きました。その背景と主な内容について説明して下さい。

A.承りました。今年1月1日から施行された新『環境保護法』第43条には「汚染物質を排出する企業・事業者その他の生産経営者は、汚染物排出費又は税務機関へ環境保護税を納付しなければならない。」と規定されています。新『環境保護法』の上記規定に述べられている環境保護税の徴税事項を明確化するため、財政部・税務総局・環境保護部にて『環境保護税法(意見聴取稿)』が作成され、国務院法制弁公室より6月10日に発表され、パブリックコメントが募集されています。

この『意見聴取稿』の主な内容は、次の通りです。

1.中華人民共和国域内及び管轄のその他海域において、直接環境へ課税対象となる汚染物質を排出する企業・事業者その他の生産経営者は、環境保護税の納税者であることを明確化しました。

2.大気汚染物質、水質汚染物質、固形廃棄物、建築施工時の騒音及び工業騒音並びにその他の汚染物質は、課税対象となる汚染物質としなければならないことを明確化しました。

3.納税額の計算式を明確化しました。即ち、納税額 = 各種汚染物質の単位汚染量 × 適用税額となります。基準値を超過したり、総量規制値を超過した汚染物質の排出に対しては、環境保護税が倍額で徴収されることになります。

4.汚染の程度により重点的に監督管理される業界と、重点的な監督管理をされない業界に分けられます。環境保護税は、重点的に監督管理される業界と、重点的な監督管理をされない業界に分けて分類管理されます。重点的に監督管理される業界は、次の通りです。火力発電、鉄鋼、セメント、電気分解アルミニウム、石炭、冶金、建材、鉱石採掘、化学工業、石油化学工業、製薬、軽工業(醸造、製紙、発酵、製糖、植物油の加工)、紡織、製革等。国務院及び省級人民政府は、必要性に基づいて業界の種類を追加することが可能とされています。

この『意見聴取稿』では、税収の調整を通じて、企業・事業者その他の生産経営者が環境保護基準に適合する施設、場所を建造するか更に整備する事を促し、環境汚染物質が排出される等の状況が発生することを可能な限り避け、環境保護の目的を達成することが試みられています。新『環境保護法』の施行に伴い、環境汚染に対する違法行為の処分が日々強化されているだけでなく、今後『環境保護税法』が施行され、環境汚染物質を排出する企業は、環境保護税を直接納付することになるものと思われます。これは、企業の環境保護面でのコストを増大させるものとなります。汚染物質を排出する企業、特に『意見聴取稿』で「重点的に監督管理される業界」とされた企業におかれましては、この法律の立法の動向に留意され、事前に充分な準備をされて、間もなく新たな税金の徴収が開始されるという新局面に対応されることを、お勧めいたします。

作成日:2015年06月25日