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2月15日21時55分放送、中国中央テレビ財政チャンネル  独占禁止の真相 (ダイジェスト版)

9.75億米ドルもの制裁金、人民元換算で60.88億元。16ヶ月の長きに渡った独占禁止取締マラソンも、とうとう終了の時がやってきた。こうして中国の独占禁止史上最大の制裁金記録を樹立することとなった。……2014年、国家発展改革委員会は、価格への監督検査と独占禁止業務への力を強め、マーケットの価格行為へ積極的に介入し、公平な競争を維持・保護することを促進し、企業と消費者の不合理な負担を確実に軽減し、経済社会発展の価格環境の優良化を進め、新たな成績を得てきた。中国全土において各種の価格違法事件合計2.49万件を調査のうえ処分し、経済制裁44.72億元を科した。中国の独占禁止は、世界各国から空前の注目を受けることとなり、外国のメディア、外国の商工会等から、不満や抗議を受けてきた。独占禁止の背後にある真相とは何か。独占禁止は、外資ブランドの自動車の価格引き下げにつながるのか。独占禁止は、我々にどのようなメリットがあるのだろうか。2月15日21時55分に放送される「対話」では、国家発展改革委員会独占禁止局の許昆林局長へ番組内で記者会見を開き、質問し、その真相に迫る。

真相1:独占禁止への取締は、内外の企業で区別があるのか。

【許昆林】独占禁止業務全体を観察していただければ、こういう結論に至るでしょう。私はハッキリと皆様へお話いたします。我々の独占禁止業務は、全て独占行為があるからこそ行っているものであり、その疑いのある企業であれば性質の違いや国の違いによって区別せず、全て同一視し、同等に扱っています。

真相2:独占禁止取締のプロセスはコンプライアンスに則っておらず不透明か。

【謝冠斌】主な批判は、海外の商工会からのものです。私も彼らの書いた批判文を読みましたが、結論だけで、事実に対する分析がないため、結論に根拠がないというものです。

【陳偉鴻】謝弁護士の目には、結論だけで、それを支える証拠がないと写ったのでしょう。証拠となるかどうかわかりませんが、私から一つ例を述べましょう。ある調査を受けたセメント会社の者は、調査員が来た時、とても緊張したようです。調査員が1階に来たとき、彼らには5階に居たにも関わらず大声で「捜査を開始する。」と叫ぶ声が聞こたため、慌て、心配になり、怯えたと書いていました。これも一つの証拠と言えるのではないでしょうか。

【処長】我々の現場での検査は、奇襲と言う者もいれば、海外ではDOWNRAIDSと呼んでいるようです。いずれもアメリカや西側から学んだものです。私自身は2009年にアメリカとEUが行った奇襲訓練に参加しました。その先生方が私に教えたものと言えるでしょう。中国の法律に基づいて、取り締まりを行う際には、2名以上の取締官が、必ず証明書を提示して、来意を説明し、何をするのか説明して、取締官全員の状況を説明します。我々の取締プロセスは、全て独占禁止法が我々に授けた取締権限に基づき、営業場所と関係箇所へ調査を行い、関連書類を採取するというものです。

ある近代的なビルに出かけた時です。私達は勤務時間に出かけました。会社に着くと、外国企業はどこもガラスのドアで、カードをスキャンして入場するシステムでした。私は私の3種類の証明書である身分証、取締証、勤務証をガラスドア越しに提示しました。中の従業員はそれを見て「北京から来た。北京から来たみたいだぞ。早く立ち去れ。昨日、同じような連中が3回来た。立ち去らないと警察へ通報するぞ。私は、『国家発展改革委員会の者だ。』などという連中を良く知ってる。早く帰れ。」私は12345市長ホットライン又は12358価格通報電話に掛けて見ろと言いました。最終的に、これらの電話から上海発展改革委員会まで繋がり、独占禁止処まで繋がりました。そして、こういう人物は確かにいる。今日は上海へ検査に行っている。どの会社かはわからないが、上海に検査に行っているということが確認されました。これで私は漸く中へ入ることができました。入った後、中国側と外国側の者が出てきて私に謝ってくれました。

真相3:独占禁止は国内産業を保護するためで、貿易保護主義ではないのか。

【許昆林】:我々の独占禁止業務は、いずれも独占行為があってから行われるもので、独占禁止にかかる立法の主な目的は、公平な競争秩序を維持・保護するためであり、公平とは、その精神の実質です。中国の『独占禁止法』は、公平な競争の保たれたマーケットの秩序を維持・保護するため、経済運営の効率を高めるためのもので、けして貿易保護主義の道具ではありません。では実際にWTOの問題を述べますと、事実WTOは我々が価格に対して不適切な干渉をしていると譴責していまが、ここで事実を明らかにしましょう。価格設定は、企業が行うものであり、我々の監督管理のポイントは独占行為であって、我々は企業の価格設定の自主権には干渉していません。

【陳偉鴻】:ここ数年、皆さんはあなた方が独占禁止の第一線に立つようになって、これまでとは違うという感覚を持っています。これまでと比べ、どのような点で特に違うと感じますか。

【許昆林】:私達の独占禁止業務は、益々意義のある事となってきています。なぜなら、独占禁止は、公平な競争の保たれたマーケットを想像するためのものだからです。今回、天津で夏期に行われたダボス会議のテーマは「イノベーション」でした。イノベーションの主体は企業であり、マーケットです。だからこそ、この企業のため、このマーケットのために公平な競争の環境を作ることは大変重要です。特に中国にとって、中国の多くの分野では核心技術が欠けています。中国にはイノベーションの駆動力が必要であり、中国経済をアップグレードするには、技術が大変重要であり、イノベーションが大変重要なのです。では、この技術は、どこから来るのか。それはマーケット、企業からやってくるのです。では政府は企業のために何ができるのでしょうか。勿論、適度に従来のようなサポート政策を行い、若干の経費を支払うこともできるでしょう。これも効果がないとは言いませんが、その刺激作用には限界があります。その理由は、たゆまぬ刺激はマーケットから齎されるべきだからです。マーケットの無情な競争の中でこそ、企業は持続的なイノベーションのプレッシャーを受けます。だから私は、これを一言でまとめました。つまり「競争こそがイノベーションの原動力であり、たゆまぬ原動力である。」と。

【司会者】:だから貴方は、ずっと独占禁止の第一線にいるのですね。

【許昆林】:異動にならない限り、私は必ずこの業務を続けていきます。

独占禁止の過程で、最も利益を譲るべきなのは誰なのか。秩序のあるマーケットは、どのように作ってゆくべきなのか。このように繰り返し長時間の独占禁止取締を行うことは、各々にとって、どのような関連性があるのか。2月15日21時55分、中国中央テレビ財政チャンネルの「対話」を是非ご覧下さい。

作成日:2015年02月25日