法律相談Q&A

法定年次有給休暇に関する問題について(前編)

Q:以前他社の方より、従業員へ法定年次有給休暇を取得させなかった場合、企業は3倍の賃金を支払う必要があるという話を聞きました。自己都合で勝手に辞める従業員に対しても、当年度の法定年次休暇を取得させる必要があるのでしょうか。

A:1995年1月1日から施行された『労働法』第45条には、「国は、年次有給休暇制度を施行する。労働者が連続して1年以上勤務する場合には、年次有給休暇を取得する。具体的弁法については、国務院がこれを規定する。」と、年次有給休暇について規定されましたが、当該規定は不明確な部分があり、取り扱い難かったため、2008年1月1日迄は、企業において一般的に施行されていませんでした。しかし、2008年1月1日に施行された『従業員年次有給休暇条例』及び後日公布された『企業従業員年次有給休暇実施弁法』によって、法定年次有給休暇の取り扱い方法について、明確な規定が設けられました。

上述の規定において、法定年次有給休暇は、国が強制的に企業へ要請する一種の福利休暇であり、特殊な場合(病気休暇中か、私事休暇が一定の日数に達した場合)を除いて、従業員に個人的な理由があっても、もしくは企業に事情がある場合でも、法定年次有給休暇を従業員に与えなければならないとされています。従いまして、従業員が一方的に労働契約の解除を要求した場合でも、法に基づく法定年次有給休暇を取得させる必要があります。

従業員が離職する際、取得可能な法定年次有給休暇の日数は、従業員の当年度に勤務を行った期間に基づいて計算する必要があります。その計算方法は以下の通りです。

(当年度に当該事業者で勤務した日数÷365日)×従業員本人が1年間に取得すべき年次休暇日数-当年度に既に手配された休暇日数。

作成日:2012年02月20日