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最新: 『デュアルユース品目輸出管理規制条例』の公布 -NEW-

   2024年10月19日、中国政府は2024年12月1日より施行する『中華人民共和国デュアルユース品目輸出管理規制条例』(以下、『条例』という。)を公布しました。
   本『条例』の内容は、デュアルユース品目の輸出に関わる企業や、デュアルユース品目の輸出代理、貨物輸送、及び通関申告など、輸出貿易に大きな影響を与えるため、今回は以下に本『条例』の概要をまとめます。

1.『条例』の管轄範囲の明確化
   当該『条例』では、国際通行上の「属地」と「属人」の原則に基づき、下記のデュアルユース品目の輸出に対する禁止または制限的措置を取るとしています。(『条例』第2条)
(1)中国国内から国外へのデュアルユース品目の移転。
(2)中国公民、法人、非法人による外国組織及び個人に対するデュアルユース品目の提供。
   上記(1)(2)の、デュアルユース品目の国外または外国組織、個人への移転及び提供には、デュアルユース品目の貿易性輸出だけでなく、対外贈呈、展示、協力、援助及びその他方式による移転や提供も含まれます。
   そのため、現地外資系企業やその役員、従業員は、中国国外の親会社とのデュアルユース品目に関する技術·サービスに関連するビジネス交流などにおいても一定の影響が及ぶ可能性があるという点に注意が必要です。

2.『条例』に域外適用効力を付与
   中国政府は当該『条例』に域外適用効力を付与しており、第49条では、国外組織や個人が、中国国外において特定目的国・地域、若しくは特定の組織・個人に以下に当てはまる貨物、技術及びサービスを移転または提供する場合、国務院主管部門は当該『条例』に基づいて執行するよう経営者に要求することができるとしています。(『条例』第49条)
(1)中国国外で製造されたデュアルユース品目に、中国を原産とする特定デュアルユース品目を含有、統合、混合するもの。
(2)中国国外で製造されたデュアルユース品目で、中国を原産とする特定技術及びその他のデュアルユース品目を使用するもの。
(3)中国を原産とする特定のデュアルユース品目。
   また、以下の点にも注意が必要です。
①上記における「特定目的国·地域」及び「特定組織・個人」とは、全てを対象としているものではなく、商務部門が明確に要求する特定の国、地域または組織、個人に限られています。
②当該『条例』は国務院主管部門に特定の状況下での自由裁量権を与えており、経営者に『条例』に基づいた執行を要求するか否かについては、国務院商務主管部門などに自主的な意思決定権があるため、企業には一定の柔軟性と交渉の余地が与えられています。

3.特定の状況では情報記入報告登記により管理規制品目の輸出が可能
   輸出管理規制リストまたは臨時管理規制に組み入れられた品目について、中国政府は輸出許可制度を採用していますが、個別許可と共通許可のほか、以下の特定の場合には、情報の登記により輸出証憑を取得し、デュアルユース品目を輸出することが可能となります。(『条例』第14条、第15条、第19条)
(1)入国後にメンテナンスや試験または検査を行い、合理的な期限内に輸出地の前エンドユーザーに再輸送する。
(2)出国後にメンテナンスや試験または検査を行い、合理的な期限内に国内へ再輸送する。
(3)中国国内で開催された展覧会に参加し、展覧会終了後直ちに輸出地へ再輸送する。
(4)中国国外で開催された展覧会に参加し、展覧会終了後直ちに国内へ再輸送する。
(5)民間航空機部品の国外修理や付属品、部品の輸出。
(6)国務院商務主管部門が規定するその他の状況。

◆日系企業へのアドバイス
   当該『条例』により、従来のデュアルユース品目輸出経営者登記申請が廃止され、直接輸出許可を申請することができるようになります。デュアルユース品目輸出経営者登記の事前申請が不要となることは、輸出経営者にとって大きな便宜的措置であるといえます。
   但し、本『条例』は、同時に中国現地の輸出経営者やデュアルユース品目輸出代理·貨物輸送·通関企業などの輸出管理規制の内部統制コンプライアンスに対し、より高い要求と厳格な法的責任を提起している点にも留意しなければなりません。もし取引相手の輸入業者、エンドユーザーが国務院主管部門の「注目リスト」や「管理コントロールリスト」に組み入れられた場合、現地輸出企業はデュアルユース品目の輸出を個別許可のみに限定されるか、輸出取引に制限や禁止が課される可能性があります。
   これを踏まえ、各関係日系企業は国務院主管部門が公布したデュアルユース品目輸出管理規制リストや「注目リスト」、「管理コントロールリスト」を把握し、関連する製品の分類と輸出要求を明確にする必要があり、場合によっては外部専門家のサポートにより処理を進める必要もあります。同時に積極的に商務主管部門とコミュニケーションを取り、最新の政策及び執行細則への理解を深め、企業の輸出管理規制に対する内部統制やコンプライアンス管理強化、及び定期的な国外取引相手に対するリスク評価を行い、潜在的リスクを識別した上でリスク管理措置の制定を検討しましょう。

作成日:2024年11月05日