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企業の記帳代行及び財税処理の新たな動向

   実務上、小規模・零細企業や個人事業主の中には、その規模の小ささから会計部署や経理担当者がいないため、一部の記帳代行業者や個人に会計業務を代行してもらうケースがあります。しかし、すべての代行業者や個人が記帳代行業務を行う資格を有しているわけではなく、適切に対応していない場合、税務当局による監督・監視を受ける恐れがあることに留意する必要があります。今回は、この代理記帳に関連し、企業の皆様が留意すべき点について簡単に紹介いたします。

1. 記帳代行業界の新たな動向
(1)記帳代行業者は4月30日までに年度届け出の提出が必要

   3月14日、財政部は「2023年の記帳代行業界の管理業務を適切に行うことに関する通知」(以下「通知」と略)を発表し、記帳代行業者に対し4月30日までに全国記帳代行業者管理システムを通じて財政部門に年度届出申告を提出する通知を出しました。
(2)記帳代行業界に対する特定項目の整備と監督管理の強化
   各省クラスの財政部は、記帳代行業界の無免許経営、虚偽経営などの違反行為に対する特定項目の整備を強化します。また同時に、日常的な監督管理の中で、財政部は市場監督管理、税務部など部門間の総合的な監督管理を強化します。

2. 個人による記帳代行業への従事はコンプライアンス違反となる
   一部の小規模企業や個人事業主は、虚偽の領収書を発行したり、脱税したりしなければ問題ないと考え、コスト削減のために、個人に記帳代行を委託している可能性がありますが、これはコンプライアンス面で問題ないのでしょうか。実際には、2019年に改正された「代理記帳管理弁法」第4条によると、会計士事務所を除いては、記帳代行は必ず法に則って設立された企業が行わなければならないことが定められています。つまり、「営業許可証」と「代理記帳許可証」を取得しなければ行うことはできないため、個人が記帳代行を行う場合、法律によって保護されていないことになります。

3. 企業はどのように適切な記帳代行業者を選択できるか
   実務上、個人または資格のない記帳代行業者の記帳代行代は安価ですが、経験不足や会計処理レベルの差異が激しく、また企業業務に不慣れなため、企業帳簿の混乱や、税徴収リスクが高くなる可能性があるといえます。では、適切な記帳代行業者を選ぶにはどうすればいいのでしょうか。
(1)記帳代行業者が正規の『営業許可証』と『代理記帳許可証』を取得しているかどうかを調べる。
(2)低コストのみを追求してはならず、代行業者の業績、人員の配置(記帳会計、監査会計など)、会計士の経験、また業務レベルや処理能力を総合的に検討する必要がある。
(3)記帳代行業者が正規の事務所と専用の記帳代行設備、記帳ソフトウェアなどを有しているかどうかを事前に調査する。
(4)日常の業務単価の引継ぎ、財務処理申告状況及びその記録など、代行業者自体に完備した財務制度があるかどうかを事前に確認する。

◆日本企業の皆様へのアドバイス
   ここ数年、「金税四期」(国家金税プロジェクトの第四期。金税プロジェクトとは、実質上、全国税務機関をカバーするコンピューターネットワークを利用し、増値税専用伝票と企業の増値税納税状況を厳密に監視するシステムというものである。)が全国的に実施されることに伴い、政府当局はビッグデータ、クラウドコンピューティングなどの情報技術を利用し、「双随機、一公開」(2つのランダム、1つの公開)という方法を採用しています。企業に対する日常検査、重点特別検査、等級別信用監督管理などが全国的に行われており、これにより、企業の伝票処理、財務納税などに対する監督管理対策も強化されています。
   そのため、現地日系企業は現地の弁護士、資格のある会計士と十分なコミュニケーションをとりつつ、会社の既存の財務会計処理、関連する贈答品の購入使用、原材料や製品、サービス提供などについてコンプライアンス評価を行い、政府当局からの処罰対象とならないよう、対策を検討実施することが大切です。

作成日:2023年04月04日