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駐在員が交通事故に遭った場合の留意点 ~シリーズ(3)負傷者の治療費・医薬品代の負担

   日本人駐在員が自転車で他人に衝突した後、負傷者が救急車で病院に運ばれ治療を受けることになった場合、中国の病院の慣例により、治療費・医薬品代を先に支払ってからでないと病院の治療を受けられないため、負傷者が治療費・医薬品代を要求する可能性があります。今回は、治療費・医薬品代の支払いを要求された場合考慮すべき留意点をご紹介いたします。

1.事故責任に基づく治療費・医薬品代負担の判断
   前回、シリーズ(2)では、交通事故の発生時、駐在員が負担する可能性のある民事責任、刑事責任についてご紹介しましたが、治療費・医薬品代の負担は民事責任の一部であり、負傷者に代わって支払うべきかどうかは、その事故における駐在員の責任に基づき判断されます。一般に、交通警察機関から「道路交通事故認定書」が発行されるまでに約10日ほどの時間を要するため、事故直後の時点ではまだ発行されていません。このため、駐在員が治療費・医薬品代を負担する必要があるかどうかは、中国の交通規則及び事故の発生した原因に基づき、事故における責任の程度が決定したうえで考慮するべき問題となります。中国の交通規則は非常に複雑であり、駐在員が自らの交通事故における責任を判断しかねる場合もあるかもしれません。そのようなときは、弁護士に相談し、事情を詳細に説明すれば、中国の法律に照らし駐在員の事故における責任を分析したうえで、治療費・医薬品代を支払うべきかどうかのアドバイスをいたします。

2.治療費・医薬品代の先行負担が唯一必須の選択肢ではない
   弁護士の判断により、駐在員に事故発生の責任がない、もしくは責任の有無が確定できない状況となった場合、先に負傷者の要求に応じて治療費・医薬品代を支払ってしまうと、後になって負傷者に対して治療費・医薬品代の返還を主張することが必要になり、費用が返還されないリスクもあります。このようなことから、先行して治療費・医療品代を支払うのではなく、公安機関からの「道路交通事故認定書」発行を待ってから、認定された自身の事故における責任に基づいて治療費・医薬品代を支払うべきかどうか、さらにいくら負担すべきかを判断することが妥当と思われます。

3.もし交通事故に遭ったら弊所にご相談を
   駐在員が実際に交通事故を起こしてしまった場合、日本との文化の違いや習慣、言語面の差異の要素も加わってどのように対処すればよいかわからず混乱してしまうかも知れません。そんなときは、焦らず専門の弁護士にご連絡いただければ、弊所の実践経験豊富な弁護士がサポートさせていただきます。
(電子メールアドレス:xionglin@aaalawfirm.com)

作成日:2021年05月12日