接待中に高級管理職が転倒によりケガを負った場合は労災となるか
会社の業務で接待が発生することは多々ありますが、会社が指示した接待中に事故が発生した場合は、労災を構成するものとなるのでしょうか。
このようなケースには実例があり、会社である高級管理職Aに顧客を宴会に接待するよう指示したところ、宴会の最中にAがレストランの廊下で転んで骨折し、後に労災認定を申請したところ、人力資源社会保障局により労災と認められました。
このケースがなぜ労災と認定されたのか、理由は以下の通りとなります。
(1)Aが顧客を接待したのは会社の指示によるもので、業務にあたることから、顧客を接待していた期間は勤務時間内ということになり、レストランは勤務場所の延長とみなされる。
(2)本人の不注意からの転倒によるケガとはいえ、顧客を接待するという業務上の原因によって被った事故傷害にあたる。
『労災保険条例』第14条第(1)項では、従業員が勤務時間及び勤務場所において、業務の原因により事故傷害を被った場合は、労災にあたることが規定されています。
当然ながら、顧客との会食接待時に発生した事故が全て労災と認定されるとは限りません。例えば、『労災保険条例』第16条では、従業員が酒酔いするほどの飲酒をしていた場合、事故が発生しても労災とはならないことが規定されています。
具体的に労災を構成するかどうかは、実際の状況を総合的に分析して判断する必要があり、事件の経緯に対する総合的な分析と判断、実行可能な対応案の策定を弁護士に依頼されることをお勧めいたします。
作成日:2020年08月27日