従業員による会社資金の着服にどう対処するか
昨今、日系企業の営業/財務担当者や高級管理職による会社資金の横領事件が頻発しています。このような事件は日系企業に多額の経済損失をもたらすとともに、現地法人の中国における信用に影響を及ぼし、本社から管理不当の責任を問われる可能性もあります。
行為主体の特殊性や横領のもたらす便宜のために、従業員が「得をしたい」心理から会社の利益を着服し、通常そのような行為は密かに行われます。社内管理において、このような問題に悩まされている現地法人の責任者は少なくありません。以下に対策をご紹介いたしますので、類似の問題に悩む日系企業のお役に立てば幸いです。
◇高額の横領が発生した場合の対応
・公安機関への事件届出を行う。通常、行為者が会社の社員であること、着服した金額の証拠の提出が求められる。
・刑事付帯民事訴訟として損失を求償することができるほか、民事訴訟により賠償請求することも可能。
◇日常管理を強化して着服を防止することが最も重要
・顧客と契約を締結する際は、現金決済は行わず小切手による決済とし、必ず会社を費用の受取人とし、これに違反した場合の損失は支払人が負うことを、明確に約定する。
・会社の規則制度で従業員が代金を受取る行為について規定し、規則違反行為について有効な処罰の措置を制定しておく。
・社内の財務、コンプライアンス状況について定期的に会計事務所、法律事務所による審査を受け、早期の問題発見、証拠保全を図る。
・代金の支払い状況を確認するため、取引先との定期連絡を徹底し、社内管理の不行届きを回避する。
・社外機関にホットラインを開設し、違法に対する取引先や従業員による匿名通報を受付けられるようにする。
作成日:2020年08月27日