感染対策期間中の規則違反への対応
Q.日系企業の当社では、新型コロナウイルスの感染対策期間中は従業員の安全を考慮し、会社の勤怠管理を若干緩めていますが、それでも一部の従業員に頻繁な遅刻や早退が見られます。会社としてどのように対処すべきでしょうか。
A.感染対策期間において、地域によっては地下鉄の乗車制限や交通渋滞等により一部の従業員が遅刻、早退することがあり、会社の日常管理に影響を及ぼしています。感染の抑制とともに、交通機関の運行が回復されてもなお、従業員の勤怠管理を緩めたままにしておくと、会社の今後の管理と発展に支障をもたらします。このため、感染対策期間においても企業が従業員の日常管理を強化することが重要であるため、以下のアドバイスをご参考頂ければ幸いです。
(1)会社の日常管理及び従業員の日常的な研修の強化
従業員の遅刻、早退に対し、出退勤時のタイムカード打刻や勤怠登記の制度を設け、勤怠管理を強化します。弁護士に委託して日常的な規律に関する研修を行い、従業員に規則違反の行為とそれがもたらす結果について教え、日常の勤務の中でも注意することにより、従業員の規則違反が発生するリスクを低減することができます。
(2)従業員の規則違反に関する証拠の収集、照合、保管
従業員に規則違反行為があったとき、従業員の規則違反に関する事実の証拠(勤怠記録、従業員が規則違反を確認した書面等)を集め、これらの関連証拠を忘れずに保管しておく必要があります。
(3)会社の規則制度の確認と、その規定に基づく従業員の規則違反行為への処分
規則制度に、従業員の規則違反行為に対し処分を与える際の根拠があるかどうか確認し(規則制度について民主的プロセスを履行し従業員への告知が行われていることも必要です)、根拠が確認されれば、その規則制度により従業員に対する処分を行うことが可能となります。根拠となる規則制度がない場合には、処分の根拠となる関連の法律・法規があるかどうか確認します。
【日系企業へのアドバイス】
企業の日常管理の中で、従業員による規則違反行為はしばしば発生するもので、このために企業でよく整備された規則制度や従業員研修制度を設け、研修を通じて従業員の規則遵守の意識を高め、規則制度に基づき従業員の規則違反行為に対し適法な処理を行うことが必要となります。ただし、会社側の処理に不備があれば、従業員のサボタージュを引き起こしやすく、労使紛争に発展するリスクともなります。このため、企業で対応処理を行う前には、専門の弁護士にご相談いただくようお勧めいたします。弊所では労務問題の処理、就業規則の制定、従業員への研修等に関する豊富な経験の蓄積があります。お問い合わせをいただければ、喜んで日系企業のためのリーガルサービスをご提供させていただきます。
作成日:2020年04月16日