法律相談Q&A

14日間隔離

Q:業務のため従業員を省外の地方に出張させる必要がありますが、出張から戻った際に14日間隔離することになるため、従業員が行きたがりません。会社としてどう対応すべきでしょうか。
A:3月25日の時点で、全国の上海市、山東省、遼寧省を含む27省で感染対策の応急体制レベルが引き下げられ、湖北省、天津市、北京市、河北省の4省市でのみ、1級の応急体制が維持されています。大部分の省市で応急体制レベルが引き下げられたのに伴い、交通規制が徐々に解除され、企業では全面的な操業再開が行われています。
 操業再開後において人が外部地域へ自由に移動できるよう、各省市レベル、国レベルでいずれも、通行証としての「健康通行コード」の運用を積極的に推進しており、健康通行コードの相互認証を認めた省市間において、出張の際に隔離が不要とされるようになっています。現在、一部の省市間ですでに健康通行コードの相互認証が実現しており、山東省では上海市、河南省等の10以上の省市との間でこれが実現され、国は健康通行コードを運用した自由な通行を全国範囲に普及する方向で取組みを進めています。また外国人についても中国人と同様に、健康通行コードを取得申請すれば、相互認証の可能な省市間を自由に通行でき、隔離が不要となります。
しかしながら、感染流行の収束はまだ宣言されていないため、従業員本人や家族にとっては出張中の感染も懸念されます。このような状況から、感染流行の特殊事態の期間において、多くの企業では従業員への出張指示を極力控えるようにしています。それでも、設備の取付けや修理等の一部の特殊な業務については、会社が従業員を出張させて現場で処理することがどうしても必要であり、この対応を行わなければ、顧客からクレームや責任追及を受けることとなります。このことは企業にとって確かに大きな難題、課題であり、以下の弊所アドバイスがお役に立てばと存じます。
1.従業員への心理面のケアを強化し、懸念を軽減する。
出張前の従業員とのコミュニケーションを十分にとり、従業員の心配している点について理解し、心理面のケアを行って懸念を軽減させる。出張期間中は、従業員と出張業務の進捗、健康状態、困難な点等について随時話し合うことで心理面への配慮を行い、出張が従業員にもたらすネガティブな感情をできるだけ解消する。
2.従業員の出張にかかる感染防護をしっかりと行い、従業員の安全を確保する。
・事前に出張先地域の感染流行状況、防疫政策、規制措置等について調べ、従業員が目的地に到着した途端に隔離されて予定通りに業務を遂行できなくなることを避ける。
・従業員に防護マスク、使い捨て手袋等の必要な防護用品を支給し、従業員の防護を確実にする。
・従業員出張の移動経路、利用する交通手段、宿泊施設等の予定を確認し、従業員の移動中の安全を確保する。
3.従業員が出張指示を拒否した場合、会社の規則制度により処分を与える。
話し合った後で、従業員がなお出張指示を拒否する場合、他の従業員の出張に対する積極性への影響を避けるために、必要に応じて規則制度により従業員に厳しい処分を与えることもできる。従業員への処分により労使紛争を招くリスクが極めて高いため、会社で関連の証拠の保管に留意し、事前に専門の弁護士に相談のうえで実施するようにし、従業員との協議を弁護士に委託してもよい。
4.会社の高級管理職及び従業員に対する研修の制度を確立する。
弁護士により定期的に会社の高級管理職及び従業員に対する研修を行い、特に感染対策の特殊期間において、従業員が出張規程を含む会社の各種規則制度を遵守するよう指導する。このような研修制度によって従業員の責任感が高められ、従業員が規則制度の遵守をより重視することが期待できる。弁護士により定期的に規則制度内外の各種の研修を実施することは、企業の実務にとり大きな意義があり、企業では普段からこのような研修制度を重要視する必要がある。

なお、会社の指示による従業員の出張中に、政府機関や顧客との交渉において何らかの問題が発生した場合は、企業より弁護士に対応を委託いただければ、専門的な法律の知識や交渉経験を運用し、会社と政府機関、顧客との意思疎通、交渉をサポートさせていただきます。弊所は従業員、政府機関等との交渉に豊富な経験を持ち、企業の皆様が面談のためにご来所されるのをお待ちしております。弊所は企業のためにリーガルサービスをご提供させていただけることを心から希望いたしております。

作成日:2020年03月27日