FAX、Eメールによる契約締結のリスク
Q.日系企業の当社では、新型肺炎流行の影響で、多くの契約をファックスや電子メールで締結しています。このような方法で契約を締結した場合、どのようなことに注意すべきでしょうか。
A.感染対策措置の影響を受け、この期間中、多くの企業では、ファックスや電子メール等で契約を締結する方法が選ばれています。この方法は便利で迅速に対応できる等メリットの多いものの、デメリットやリスクも存在し、不適切な取り扱いによって契約の有効性に影響が及ぶ可能性もあることから、契約を締結する際は次の点に留意する必要があります。
(1)ファックスにより契約を締結する場合、契約書中に双方で送受信を行うファックス番号及びファックスで伝達する文書の法的効力について明記し、ファックス文書の原本及びコピーを適切に保管する。
(2)電子メールにより契約を締結する場合、契約書中に双方が電子メールの方式による契約の締結に同意した旨や契約の効力について約定し、書面により双方の受信者及びメールアドレスを確認する。
(3)契約締結時のメール、WeChat等のやりとりの記録及び契約に対応する配送伝票、納品書、検収伝票、領収書、入金証憑等を保管する。
ファックス、電子メールの形式で締結する契約にも法的効力はあるものの、形式上改ざんされやすいため、その他の証拠でその真実性を裏付けることが必要となります。可能な限り、上記の方式で契約を締結した後に契約書の原本を郵送し、双方で交互に署名・捺印を行っておくことをお勧めいたします。契約を締結する際には、上記の問題に注意するほかにも多くの留意点があり、詳細は、メールで弊所にお問い合わせいただければと存じます。感染対策期間中は、外国人従業員が中国に入国の際に受ける隔離措置や、ビザ更新問題、コーポレート・ガバナンス等、対応の難しい問題が普段よりも多く生じます。弊所では、これらのいずれについても検討、整理を行っており、必要に応じてご相談にお越しいただければ、ぜひともサポートをご提供させていただきます。
作成日:2020年03月17日