最新法律動向

外資系銀行、保険会社の参入要件緩和

10月15日、李克強首相が国務院令に署名し、『「外資保険会社管理条例」及び「外資銀行管理条例」の改訂に関する決定』が公布されました。改訂される2つの条例は公布日をもって施行開始となります。
今回改訂される部分の条項は、主に外資系保険会社と外資系銀行の投資参入及び業務範囲等に関わるものとなります。新たに改訂された条例では外資系金融機関に対する設立制限を緩和し、その中国における業務範囲を拡大するものとなりました。具体的には以下のような内容となっています。

1.外資系保険会社に関して
①外国の保険グループ企業が中国国内において外資系保険会社投資を行うことを許可する。
②国外金融機関による外資系保険会社への資本参加を許可する。
③設立申請時において、外国保険会社が「保険業務を30年以上経営している」、「中国国内で代表機関を設立して2年以上が経過している」べきであるとする条件を廃止した。

2.外資系銀行に関して
①外国銀行が中国で外商独資銀行を設立する場合の総資産に対する要求(100億米ドル)を廃止する。
②外国銀行が中国で支店を設立する場合の総資産に対する要求(200億米ドル)を廃止する。
③設立を予定する中外合弁銀行の中国側のうち唯一/主要株主は金融機関でなければならないとの条件を廃止する。
④外資系銀行の人民元業務の取り扱いに関する審査認可を廃止する。
⑤外国銀行が中国国内において外商独資銀行及び外国銀行の支店を同時に設立することを許可する。
⑥外資系銀行が国債の代理発行、代理支払い、受託販売及び代理決済の業務に従事することを許可する。
⑦外国銀行の支店が中国国内で公民による定期預金を受け付ける際の1回あたりの受付金額下限を50万元まで引き下げる。
⑧外国銀行の支店が一定比率の利息を生ずる資産を保有することに関する要求を緩和した。
⑨自己資本比率について関連規定への合致を維持している外国銀行支店に対し、その人民元資金の割合と人民元リスク資金の比率についての制限を緩和する。

2つの条例の改訂は、外国の金融機関に新たな発展のチャンスをもたらすものとなります。中国に事業発展のニーズがある日本企業ではこれを機に市場シェアを獲得し、銀行業又は保険業に従事する日系企業では、新たに改訂された内容を踏まえて業務範囲を拡大し、国内金融業市場に参入することも可能になると思われます。改訂された両条例の実施徹底のために、銀行保険監督管理委員会ではさらなる実施細則の制定が計画されており、関連する日系企業は引き続き法整備の動きに注目されるとよいでしょう。

作成日:2019年10月29日