会社の抹消・休眠・不動産処理

注目!税務機関による「抹消難」の解消案は?/サービス貿易のネガティブリスト/青島での企業設立は3業務日でOK

●税務機関が企業の登記抹消難解消に尽力
国家税務総局が9月18日に公布した『企業税務登記抹消プロセスの最適化に関する通知』で、3つの面から企業税務登記抹消のプロセスの最適化に努めるとしています。

1. 税務清算証明書の取得免除のサービスを実施
市場監督管理機関に簡易抹消を申請する納税者は、税務に関する事務手続きを行ったことがないか、行ったことはあるが発票の受領・使用をしておらず、税金(延滞金)の未納がないようであれば、税務機関に出向いて行う税務清算証明書の取得手続きが免除されます。

2. 税務登記抹消の即時手続きサービスを最適化
税務調査中の状態となっておらず、税金(延滞金)及び制裁金の未納が存在しておらず、増値税専用発票・税金統制専用機器をすでに返却している者は、税務登記抹消の手続き時において資料が揃っていなくても、期限内に資料を追加提出して揃える旨の誓約を出すことで、税務機関より直ちに税務清算文書が発行されます。書類提出について寛容な措置が取られる対象には、納税信用ランクがA級かB級の納税者、親会社の納税信用ランクがA級であるM級納税者、増値税の徴税基準に達していない納税者等、5類の納税者があるとされます。

3. 税務登記抹消のプロセスの簡素化
①資料提出の簡素化により、実名で税務手続きを行う納税者については、税務登記証及び個人の身分証明書の提示を免除する。
②税務の窓口サービスを最適化。税務サービス受付所への登記抹消業務の専門窓口の設置、税務登記抹消の事前事項等の統合など。
③税務機関内部の業務プロセス及び職責分担を最適化し、登記抹消業務について、協力協調、時限内処理を行うようにする。

留意点:
条件を満たす規範的企業にとっては、税務登記抹消のプロセスがより最適化されるといえます。一方で、税務登記抹消は税務機関が国家の税収を維持するうえでの最後の一線でもあります。税務登記抹消を適切に対応し、撤退をスムーズに完了するために、企業では日常経営の過程において税務コンプライアンスを重視するほか、税務登記抹消のプロセスに入る前に、コンプライアンス面の自己点検を行うことも大変重要であるといえます。

●全国初となるサービス貿易のネガティブリストが上海で公布
・上海市はサービス貿易分野のネガティブリストを発表し、合計159項目の特別管理措置を列挙しました。その内訳は13の大類と31の業種別からなり、来る11月1日から施行されます。
・公布した文書には『中国(上海)自由貿易試験区クロスボーダーサービス貿易に係るネガティブリスト管理モデルの実施弁法』及び『中国(上海)自由貿易試験区クロスボーダーサービス貿易に係る特別管理措置(ネガティブリスト)』(以下、それぞれ『実施弁法』と『ネガティブリスト』という)の2つの内容があります。
・『ネガティブリスト』では主に、内国民待遇と異なる制限性措置を挙げ、『実施弁法』はネガティブリストの具体的な実施案となっています。
・以前公布された外商投資参入ネガティブリストは、主に投資参入に関する制限であり、サービス貿易ビジネスに存在する参入問題にも触れていました。今回のネガティブリストは主にクロスボーダー間での引渡し、海外消費、自然人の流動の分野に関する問題を扱う内容となっています。

留意点:
当該ネガティブリストは、上海で投資するサービス貿易経営者にのみ適用されるものとなりますが、将来的には他の地域、或いは全国範囲でこれを参照した適用普及が行われる可能性もあることから、サービス貿易に従事する経営者には注目される動きとなります。

●青島での企業設立は3業務日でOK
・今年9月6日、青島市では『青島市企業設立を最適化するための特別行動案』が公布されました。この中で「インターネット+行政サービス」の方式により、データをインターネット伝送し、企業が窓口に出向かなくて済む事務環境を実現することが明確に示されました。企業の新規設立における営業許可証の取得申請、社印の作製、銀行口座開設、税務事項手続き、社会保険登記等の事項が3業務日で実現できるようになるとしています。
・工商機関が企業から提出する登記申請書類については書面審査を行い、書類が揃い、法定の書式に合致していることを前提に、企業の新規設立の登記にかかる時間が1業務日以下に短縮されます。
・企業はオンラインで印章作製の申込手続きができます。印章作製業者では0.5業務日で刻印を完了し、規定に従い、企業の社印印影の電子データを公安機関の届出に提出する必要があります。
・税務機関は、初回税務手続き時の記録への情報追加を取り消し、代わりに登記情報の確認を行うようになります。新規の納税者の法定義務事項及び発票の初回使用・受領等の14項目の税務事項について、オンラインでの一括手続きが実現されます。法定の条件を満たす新規設立企業の増値税普通発票、増値税専用発票及び税務統制機器の受領は、0.5業務日で済ませられるようになります。
・営業許可証の取得手続きと銀行の口座開設を並行して行うことができるようになります。口座開設のための資料についてオンラインでの事前審査が段階的に実現され、商業銀行へ条件に合致した書類を提出すれば、0.5業務日で手続きを完了できるようになります。
・企業の保険加入登記及び従業員の保険付保業務がオンラインで手続きでき、即時に完了することとなります。

留意点:
一企業の設立手続きがよりスピーディになる反面、各機関間における情報共有がますます強化され、企業にとってはコンプライアンス重視がいっそうの課題となります。

作成日:2018年10月18日