最新法律動向

『青空防衛戦に勝つための3年行動計画』について

中国では大気汚染問題が深刻化し、大気汚染物質の排出量は今なお世界で上位を占めています。全国338ヵ所の地級市以上の都市において、大気の質が合格基準に達しているのはわずか29%に留まり、「北京・天津・河北エリア大気汚染伝播ルート」に指定される都市や、陝西省、山西省に跨る汾渭平原等の地域においては、PM2.5の年平均濃度が基準値を超え倍程度に達し、長江デルタ、成都・重慶市周辺、東北地方等では季節性の大気汚染問題が依然顕著で、特に秋から冬にかけて、北方各地で重度の大気汚染となる日がかなり多く、人々の呼吸器、循環器への負担となっています。

重点エリア

(1)北京・天津・河北及び周辺エリア:北京市、天津市、河北省の石家荘、唐山、邯鄲、邢台、保定、滄州、廊坊、衡水の各市及び雄安新区、山西省の太原、陽泉、長治、晋城の各市、山東省の済南、淄博、済寧、徳州、聊城、濱州、菏澤の各市、河南省の鄭州、開封、安陽、鶴壁、新郷、焦作、濮陽の各市
(2)長江デルタエリア:上海市、江蘇省、浙江省、安徽省
(3)汾渭平原エリア:山西省の晋中、運城、臨汾、呂梁の各市、河南省の洛陽市、三門峽市、陕西省の西安、銅川、宝鶏、咸陽、渭南の各市及び楊凌モデル区

重点対象とされる産業分野

鉄鋼、石油化学、化学工業、石炭加工、建築材料、非鉄金属、セメント、板ガラス、火力発電、鋳造等の産業。

重点対象となる企業への影響

(1)重度の汚染をもたらす企業は、移転・改造もしくは閉鎖・都市部区域からの退去を求められます。
(2)期限内に業界の排出基準を達成することのできない工業企業は、処分を受けたり公益訴訟を提起される可能性があります。
(3)冬季になると、一時的な操業停止による緊急コストや、輸送車両に交通規制を受けることによる生産コストの負担が重くなります。

企業の留意点

重点対象となる企業では、自社の実情に照らして早めに適時の対応を取ることが望ましく、移転・改造や閉鎖・退去を求められた企業は、移転先の選定、従業員処遇手配、経営業務の移管等に早期着手することで、当該行動計画により企業の生産計画、経営に及ぶ影響を極力抑えるようにされることを、お勧めいたします。
一方で、環境への負担をもたらさない企業にとっては、自社の現状に基づき技術イノベーションや販売において最適化を図る発展のチャンスとなるでしょう。

作成日:2018年07月18日