法律情報

女子従業員の妊娠期間・出産期間・授乳期間中の留意事項

Q.青島にある日系企業ですが、女子従業員を多く抱えています。昨年二人っ子政策が打ち出されてから、女子従業員の妊娠が相次ぐようになりました。いわゆる「三期」中の女子従業員に対する労務管理上の留意点について教えて下さい。

A.『労働法』、『女子従業員労働保護特別規定』等の関連法律の規定により、妊娠期間、出産期間、授乳期間(以下「三期」という)中の女子従業員には、労務、休暇、賃金待遇等の面で特殊な保護規定が設けられており、実務において使用者が留意すべきところとなっています。

1.労働者使用上の制限

①高所、低温、高温、有毒、高負荷の肉体労働等、三期の女子従業員が従事することを避けるべき労働の範囲を明確に規定。
②時間外労働と夜勤労働をさせてはならない。

2.休暇に関する特別優遇

法定の祝日と休日を除き、妊娠、出産、授乳している女子従業員は、法定の出産検査休暇、出産休暇、授乳休暇等の特別休暇を取得することができる。

3.賃金待遇面

①女子従業員が「三期」中であることを理由に賃金待遇を低下させてはならない。
②女子従業員が法定の出産検査休暇、授乳休暇を取得した期間は正常に労働した時間と見なし、使用者は労働報酬を支払うべきである。
③女子従業員は、出産休暇期間中、法定の出産手当を取得でき、出産保険に加入している場合、出産保険基金から支給する。出産保険に加入していない場合、使用者が女子従業員の出産休暇前の賃金基準により支給する。

4.三期中の女子従業員との労働契約の解除、終了の制限

①女子従業員が「三期」にあることを理由に、退職させたり労働契約を解除してはならない。
②罹病、職務に堪えないこと、客観的な状況への重大な変化、経済性人員削減等の理由による労働契約解除をしてはならない。
③三期中の女子従業員の現労働契約が期間満了となる場合、授乳期間が満了するまで延長してたうえで終了しなければならない。

留意点

女子従業員の特殊な身体状況にある期間中の健康状態を考慮し、関連法規では三期中の女子従業員に対し労務、休暇、待遇等の面で特別規定を設けており、労働契約の解除と終了を制限しています。ただし、これは妊娠中の女子従業員が勤務先の規則制度を遵守しなくても良いということを意味するわけではありません。使用者は、時間通りに出勤し、上司の業務上の指示に従う等、妊娠している女子従業員にも会社の規則制度の遵守を求めることができます。女子従業員が使用者の規則制度に著しく違反した場合、使用者は、規則制度に基づいて処分を与えることができ、場合によっては労働契約を解除することもできます。ただ、妊娠している女子従業員の身体状況の特殊性から、使用者は、妊娠している女子従業員の規則違反行為を処理する際の方法には特に注意を払い、慎重に対応することで、不要な紛争を避ける必要があります。
また、昨年から2人っ子政策が全面的に施行されたことに伴い、出産ブームを迎えています。企業にとって、特に女子従業員の多い企業では、事前に女子従業員の出産の意向を把握し、担当職務や業務の適切な調整を行い、正常な生産経営に影響が及ぶことを避けるようにしましょう。

作成日:2017年12月18日