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越境EC新税制に一年の過渡期か

越境ECに新税制が施行されてから1ヶ月が経過したが、越境ECに関する話題や紛争には事欠かない。昨日の「上海証券報」は、国務院弁公庁、商務部を含む多くの政府機関が新税制の効果及び影響について新たな調査・検討を行った後、新税制を一年延長する過渡期を設け、税率の調整を保留するほか、その他はモデル地区の元の方法で取り扱うことを計画していると報じた。

今年4月8日、財政部・税関総署・国家税務総局が連名で『越境ECを用いた小口貨物の輸入に対する租税政策に関する通知』を発表した。これ以降、越境ECの小口輸入商品は、「物品」として「行郵税」が課されるのではなく、「貨物」として関税、増値税、消費税等が課税され、行郵税の税率も同時に調整されることとなった。

しかし、越境EC新税制が施行されてからほどなく、多くのメディアは、実際の取り扱いにおいて、一部の越境EC会社は通関証明書を提供するために必要な資格、伝票がなく、商品が輸入できないか、品切れになっていると報道するようになった。統計によれば、新税制施行1週間で、鄭州、深セン、寧波等の越境ECのモデル地区では、輸入される貨物が新税制の施行前に比べ、それぞれ70%・61%・62%減少したとされている。

情報によれば、5月5日から7日にかけて、国務院弁公庁・商務部・財政部・税関総署を含む複数の機関を所管する担当者が、越境EC新税制施行1ヶ月の効果と影響についての集中調査と検討を行い、なお且つ唯品会、小紅書、聚美優品、天猫国際を含む複数の越境ECで有名な会社から事情を聴取しているという。

「まだ現在は税制改正前の在庫が少しあるので、一気に値上げをする訳にもいかず、前の税率で販売している。」ある越境EC会社の責任者は、こう話した。しかし現在越境ECの発展は低迷状態に陥っているため、各ポータルサイトでは品切れが起きているという。したがって、今後越境EC商品の価格が上がる可能性がある。

また、ある著名な電子商取引ポータルサイトの責任者によると、越境EC経営の商品は、国内消費のレベルアップと言うトレンドに適応し、消費者の需要に密着しなければならないため、商品寿命は通常半年だと述べている。一般貿易商品の許可手続を行っていては、登記届出手続が終わらないうちに、商品は市場から淘汰されてしまいかねない。このため、真に越境ECの発展に影響を及ぼすのは租税ではなく、品数制限だという。また、この責任者は、保税モデルができる前に、海外のポータルサイト、例えばアマゾン等は、既に強力なブランド価格設定権及び仕入能力を通じ、宅配ネットを利用して全世界に販売するネットを形成しているとも指摘している。保税モデルは、ここ数年国内の越境ポータルサイトにショートカットのチャンスを齎した。もし現在の発展の趨勢が持続すれば、中国のアマゾンが生まれる可能性があるが、保税モデルが打撃を受ければ、中国の越境EC会社は、海外ポータルサイトと覇を争うことができなくなるという。

商務部の電子商取引の専門家諮問委員会の趙萍委員は、過渡期を通じ市場を徐々に新税制に適応させるべきだと提案した。また、現有の条件下で、越境EC会社は、発想と経営の種類を変え、新たな競争のメリットを培うべきだと述べた。
(京華時報より)

作成日:2016年05月23日